創約 とある魔術の禁書目録 (電撃文庫)

創約 とある魔術の禁書目録 (電撃文庫) の詳細

学園都市で「上条当麻が不良達に追われているところに御坂美琴が絡んでくる」旧約1巻を彷彿させるオープニングで始まり、敵の襲撃、闘い、上条さんの説教⇒その幻想をぶち殺す、と原点回帰を感じさせる内容。登場人物が少なく新キャラは敵側の二人だけで、禁書目録にありがちな複数場面や複数視点の交錯もあまりなく、読みやすい印象です。新約で挫折したひとも、改めてここから読もうと思えば読めるのではないかと思われる内容です。原点回帰といっても新シリーズは、科学側頂点のアレイスターと魔術側頂点のコロンゾンが退場した後、”科学と魔術の境目を取り払いカオス状態にしようとするラスボスの陰謀との対立構造”という新たな舞台設定となります。ラスボスは新約最後の方で登場してきたアンナ＝シュプレンゲルで、その陰謀の目的も、彼女自身の実力も今のところ全て謎です。ただ、あのエイワスすらぞんざいに扱う禁書目録シリーズ屈指のぶっ飛んだキャラクターです。今回の見どころは、個人的には一方通行です。大切な者を守るためダークヒーロ（自らは”悪党”と呼ぶ）の道を選んだ彼が、今回、更に新たな境地へと入っていきます。作者はあとがきで、「学園都市統括理事長となった一方通行が何をしたいと思うかと考えたら自然とこうなった」と言っていましたが、この展開は全く予想していませんでした。また、ラストはいつもどおり、次巻が気になる終わり方になっています。